◆第1章 | 2006 |
越後、親不知・子不知 ● 2006年7月15日(土)〜7月16日(日) ● ヒスイの里・糸魚川
mac3、じょしゅ、soneta、柿の種、かやのんち、山アスパラ活二 |
一昨年から掲示板などで見せびらかしていた、親不知モゾク。二年ぶりに開催される事になったこのOFF会のメインとして最も相応しい究極のグルメが、この親不知の静かな海の底に、宝石のごとく揺らいでいる。 |
(2006年7月26日撮影) |
◆モズク(当地では訛って“もぞく”と発するので、以下モゾクと称す。) ・・と一口に言っても、いろいろな種類があり、日本各地で、又、採れる時期も様々なようだ。最近では沖縄モゾクが日本全国に大量に出荷されているようである。 新潟県内では、佐渡産のモゾクが最も多く流通していて、首都圏などへも出荷されているようだ。 同じ新潟県でも、ここ最西端に位置する親不知産のモゾクは、その味の良さと抜群のシャキシャキ感で、知る人ぞ知る逸品なのだ。6月の終わり頃から7月の25日くらいまでの、僅かな期間しか採れない。 今年の親不知OFF会は、このモゾクが海底で生えている様子を観察し、それをほんの少し皆で食べるだけ海の神様からいただいて、その場で味噌汁にして食べる事を目的にした集まり、という事にしたのだ。 |
●プロローグ・・・実はモゾクが大嫌い・・だった話。 〜〜親不知モゾクの自慢話
<7月15日(土)>
◆集合
今回のOFF会は少数精鋭(?)のメンバー構成だ。新人の2人については文中にて詳しく紹介するとして、少数ゆえにこの2人の参加はとてもありがたかった。 事前に参加を表明していたインクさんとnomo16さんが、急用で来れなくなってしまい、途中顔を出すと言っていた、エスペロ佐藤さんも、雨の影響で予定が変更になってしまい、参加できなくなった。3人ともとても残念がっていたの言うまでもないが、この天気じゃ来なくて正解だったのかもしれない。 ・・・とすると、この雨の中集まってきたメンバーは、揃いもそろって、よっぽどの変人か・・・(?)。 |
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正午に各人昼食をとって集合という事にしておいたが、趣味千山隊は、途中の道路混雑で少し遅れそうだとの連絡が入った。 朝10時に、前日からの泊まり番の仕事を終え、糸魚川駅にsoneta氏を迎えに行く途中で、もう一度海の様子を見てみた。折りしも、パーッと晴れ間が広がってきて、天気予報が外れたなとほくそ笑んだ。昨日もそうだったから・・ まさかこの後、あれほどの大雨に変わるなんて予想もしなかった。 10:31着、はくたか4号は5分遅れで糸魚川駅に入ってきた。ほどなくsoneta氏のいつもの人なつこい笑顔が現れ、久しぶりの固い握手。この握手から、「さあ、今年もOFF会がスタートだ!」という気分になる。 集合時間にはまだ早く、sonetaさんは途中で浮き輪を買いたいそうなので、ホームセンターにちょっと寄り、その後ビールを買いたいという。今日の昼用かと思いきや、一箱買って夜の宴会用だと言う。「今晩泊めてもらうし・・・。」 ああ、そういう事か。 集合場所の須沢臨海公園に向かう途中、柿の種さんに連絡を取った。聞けばすでに青海に来ているらしい。おそらく大好きなヒスイ探しでもしているんだろう。 この柿の種さん、アウトドア宴会が大好きでモノスキーをやったりするスポーツマンだ。彼の“遊ingブログ”でその辺の事が書かれているのを見ていた。また最近ヒスイ探しにはまって、この頃頻繁に糸魚川まで足を延ばしているらしい。はたして今日も朝早くからこの辺りの浜をウロウロしていたのだ。その翡翠拾いの相棒も一緒に参加させて欲しいと、何日か前にメールをもらっている。 類は友を呼ぶ、の諺通り、我々のオフ会には回を重ねる毎に同類の人種が加わってくる。それは決まって野外で採取したあるいは捕獲したものを、最高のご馳走として食らう事を、至上の喜びと感じる、そういう類の人種である。 その延長線上に、温泉があったり野外宴会があったり、愛犬の散歩の為に山奥深く分け入ったり、人によっては珍しい花写真があったり誰かみたいにバイクツーリングがあったり、釣りがあったり、漂着物ウォッチングだのゲテモノ喰いがあったり・・(笑)。 とにかく家の中でウジウジしているのは大嫌い、アウトドア活動が必須なのだ。身体が動くうちは出来る限りそんなふうにして野外で騒いでいたいものだ。
「はあ?」 「こいつの家の屋号が、“かやの”って言うんですよ。それで“かやのんち”って呼んでるんです。」 その紹介を聞いて私はホッとした。 今のご時世、屋号がどうのこうのと言うのは、起業する時の申告か、田舎の農村での会話くらいなもんで、大部分の都会暮らしの方の日常では、ほとんど死語になっている。ということはこの青年もやはり、田舎の土の匂いが似合う、私と同類人種なのだ・・・と短絡的に思う事にした。今度機会を見つけて、大潟町にあるというその、“かやの”邸に押し掛けてみる事にしよう。 かく言う私の実家も、屋号は忠右ヱ門という古くからの農家で、代々からの本家・分家・そのまた分家という、江戸時代からの関係の“家内”(やうちと読む)が、同じ部落に固まって住み、それらは皆同姓を名乗る。だから、そこへ行って「五十嵐さんの家は?」と聞いても通用せず、忠右ヱ門という屋号を言えばすぐにわかる場合が多い。かやのんちさんの所もそうなのかなあ・・などと思いつつ初対面の握手を交わしたのだった。
その頃から、空が暗くなり雨が激しく降り出してきた。風も強く、半袖一枚では寒いくらい。7月中旬、梅雨明け前の大雨降りがいよいよ本格的に始まった。 こうなる事は、日程を組んだ時点で大方予想していたが、私の仕事の休みと海の日の連休がちょうど重なった事、それから、採れたてのモズクを食べるという今回の目的を達する為には、絶対にこの時期しかない。雨が降ろうが槍が降ろうが私だけでもなんとか潜って、親不知の海底にそよぐ宝石を採り上げて、皆に食べさせてあげなければならない。皆もその宝物を口にする為に、遠くからわざわざ足を運んできている。 私はそういう不退転の決意でこのオフ会を立ち上げたのだったが、いかんせん、これほどの寒さまでは予想していなかった。 |
●予定変更
今日は温泉にでも入って、明日への鋭気を養おう、という事になった。この決定に一番喜んだsonetaさん、小谷温泉へ行こうと言い出したが、私は主催者の権限で、根知谷のシーサイドバレースキー場に今シーズン開設された塩の道温泉に連れていく事にした。 この決定について、後のmac3さんの紀行文にて、“活二が手を抜いた”と書かれてしまうが、そうじゃない。 (8月のゴムボートOFF会で。その事が大笑いの肴になったのだが・・・笑。) 今から小谷に行ってたんじゃ帰りが夜になってしまう。それにこの急激な大雨では、国道148号線が危ないかもしれない。行けたとしても、土砂崩れにでもなって道が封鎖されれば、帰ってこれなくなる。 (実際あとで聞いた話では、大糸線が不通になり、148号線も連続降雨で一時ストップしたのだそうな。) 塩の道温泉は露天風呂こそないが、ツルツルスベスベの湯質が素晴らしく、ぬるめの湯なので、(熱いのが苦手な)macさんでもゆっくり浸かって(先の北海道遠征に続いての)長旅の疲れを癒してもらえる。 私はそこまで考えていたのに、“手を抜いた”はないでしょ・・・(笑)。
「オイ、これから雨飾(あまかざり)温泉へ行くことになったから・・・」 「え?これから?この大雨の中?」 「今地図見たら、ここから近いじゃないか。」 「そりゃ直線距離なら近いけど、ものすごい山道をくねくねと上っていかなきゃなんないんだよ。 だいたいこんなドシャ降りじゃ、途中で崖崩れにでも会いかねんし・・・。」 「そこは露天風呂があるんだろ?」 幹事の心配は、全く無視である。 「例の都忘れの湯、っていうのが山荘の庭先に木で囲ってあって・・・」 「それは混浴なんか?」 「一つしかないから男も女もないよ、たしか500円だったと・・、でもホントに行くつもり?」 「どうのこうも無い、ホントに行くんだ!」 こんなやり取りで、まったくもって我侭な来客の要望に押しつぶされてしまった。 (ああ・・、これでまたビールが遠のいた・・・泣) |
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都忘れの湯がある雨飾山荘は、根知谷の最終部落からさらに車で25分程、急な山道をくねくねと上った所にある。つい何年か前までは、車は途中までで、そこから40分くらい歩いて上っていかなければならない“秘境”だった。 日本百名山の一つ、雨飾山の新潟県側の玄関口でもある為、この温泉の入湯客も圧倒的に登山客が多い。 山荘が見える所まで上ると、それまでガスって暗っぽかった景色が、急に明るくなってきた。山荘横の駐車場で車を降り後ろを振り返ると、モクモクとした白い雲海の上に出ていたのだった。
「じゃあ私が先に入って水着に着替えるから・・みんなで一緒に入ろうョ♪」 なんと素晴らしい、じょしゅさんの行動力である。 ここで憧れの混浴ができる事になるとは、思いもよらぬ嬉しい誤算であった。 この助手さんの行動力が、翌日も大いに発揮されて、今オフ会の命運を分けるキーポイントになる、という事を、私は(おそらく皆も)この時知る由もなかったのだった。 |
山荘の休憩室で、まったりとした時間を過ごしていると、ビールが無性に恋しくなってきた。そういえば、お腹もそろそろ・・・ このあと山を越えて、忠右ヱ門に直行する。根知の集落まで20分、そこから20分で、楽しい宴会が待っている。 |
●忠右ヱ門の宴
忠右ヱ門に着くと、もう夕方になっていて、おふくろが首を長くして待っていた。 当地に代々伝わる、昔ながらの田舎料理の一つ、笹寿司を食べてもらう事は、親不知オフ会の恒例行事となっていて、母にはいつも厄介をかけている。 70を過ぎたこの母でなければ作れない、伝統料理だ。 地魚の刺身に加えて今回楽しみなのが、macさん達がせんだっての北海道旅行で現地から送ってくれた、タラバガニ。こんな大きなタラバガニは初めて食べた。これは実に美味かった♪大変ご馳走さまでした。 初参加の柿の種・かやのんち両氏には、例のごとく笹寿司の正式な食べ方を教えてあげた。
今晩、macさん達はホテルに泊まる事になっているが、私を含め他のメンバーは"民宿忠右ヱ門"に泊まってもらう事にしてあるので、ゆっくり飲んで食べてくつろいでもらいたいと思っていたら、かやのんち氏が妙にそわそわしだした。 聞けば、明日の朝、部落のお宮さんの草刈りをしなければならないんだそうな。となれば飲んでる場合でなく頃合いに帰らなきゃならないじゃないか・・。 「すいません、ちょっと電話を貸してもらえますか?」 はい、どうぞどうぞ(ここは山あいなので携帯が通じない) 何事かしばし電話で話終えた彼は、晴れ々とした笑顔で皆に宣言した。 「今カミさんの許可が降りました。明日朝、時間までに戻って来るなら泊まってもいいと・・。だから朝早く起きて帰るという事にします。」 これだけのご馳走を目の前にして、飲まずにすごすごと帰るというのは、おそらく彼のポリシーが許さないのだ。 とにもかくにも、これであらためて皆で乾杯と相成った。 |
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